待合の掲示物、気づくと「古い」「読まれない」「貼り替えが面倒」の三重苦になりがちです。そこで、手元の機材で デジタルサイネージ を回せると、院内の案内が一気に“更新できる資産”に変わります。紙ポスターの貼替えや口頭周知の手間を減らしつつ、混雑緩和・クレーム抑制・診療内容の周知までをタイムリーに行えるのがデジタルサイネージの魅力です。

デジタルサイネージ とは何か(基本知識と背景)
クリニックにおけるデジタルサイネージは、待合・受付・廊下などに画面で、院内ルールや診療案内、予防接種・健診の案内、混雑状況、季節のお知らせを表示する仕組みです。紙の掲示と違い、「更新が早い」「同じ場所で複数情報を回せる」「スタッフの貼替え作業が減る」のが魅力です。さらに最近は、デザイン作成と配信を組み合わせることで、専用サイネージ機器がなくても運用できます。ポイントは“凝ったシステム”より、毎月ちゃんと更新できる運用を作ることです。
デジタルサイネージの役割(クリニック目線)
- 案内の標準化:受付で毎回説明している内容(発熱時の流れ、問診、会計、検査前注意)を“画面で先に伝える”と、現場の摩擦が減ります。
- 掲示の鮮度を保つ:ワクチン・健診・休診・臨時対応は、紙だと更新漏れが起きやすいですが、デジタルサイネージなら差し替えが簡単です。
- 待ち時間の体感改善:待合で「今どういう状況か」「何を準備すればいいか」が見えると、不満の芽が小さくなります。
医療現場での典型設置場所と目的
- 入口・受付:来院動線、マスク・発熱時の案内、保険証・オンライン資格確認の流れ
- 待合:待ち時間の見える化、当日の混雑予報、健診・予防接種・診察内容の周知
- 検査前:絶食・内服中止、注意事項の再周知(図解)
- 処置室前:呼出+滞留防止(静音・視認性重視)
院内業務に導入するとどんなメリットがあるか
サイネージは「スタッフの代わりに、同じ説明を何度でも、ブレずに」行い「説明の質が均一になる」のが特徴です。結果として、受付の口頭対応が減り、待合が落ち着きます。検査前の注意事項も反復表示できますし、診療内容や季節のワクチン案内を継続的に掲示すれば、自然な形での周知・案内が可能です。
患者さん体験の底上げとクレーム抑制
- 視認性:大きな文字・図解・色分けで“伝わらない”を予防
- 安心感:流れが見えると不安が下がり、体感待ち時間も短くなる
- 多言語:英語・やさしい日本語の併記で誤解を減らす
想定されるデメリット・注意点
デジタルサイネージは便利ですが、やり方を間違えると「結局放置」「読まれない」「画面が消える」の三重苦になります。さらに、院内掲示では個人情報や誤情報のリスクがあるので要注意です。医療機関では特にアクセシビリティ(色弱・高齢者の可読性)を最優先に設計しましょう。
デジタルサイネージの医療安全(表示してはいけないもの)
- 個人情報:患者氏名、予約番号、検査結果などは絶対に載せない(別システムで管理)。
- 誤解される表現:疾患説明は“断定”を避け、受診の目安・相談先を明確にします。
- 広告っぽすぎる内容:クリニックの掲示は信頼が命。過度なあおり文句は逆効果です。
市場にある類似商品と比較(どんな選択肢があるか)
デジタルサイネージには「専用配信システム」「Android/Windowsプレイヤー」「テレビ+Fire TV Stickなどの画像を画面に映し出すための機械」「タブレット流用」など多くの選択肢があります。当院では“最小構成”としてテレビ×Fire TV Stick×Amazon Photos×Canvaで自作しています。しかし、院内の規模や拠点数が増えると、遠隔一括管理できる専用ツールのほうが結果的に楽になることもあります。まずは、運用難易度と費用のバランスを把握し、自院の現実に合うところから始めるのが正解です。
デジタルサイネージ方式の比較(安さ vs 管理のしやすさ)
- タブレット流用:最安で始めやすい。Amazon Photos×Fire HDなどがこれです。
- テレビ+Fire TV Stick:大画面に強い。Amazon Photosのスライドショー運用が使いやすいです。
- 専用サイネージ:複数拠点や遠隔一括管理に強いが、月額や初期費用が上がりやすいです。
“続く運用”が最優先。初期コストが低くても、継続して管理できなければうまくいきません。
| 方式 | 初期費用 | 運用 | 向いている |
|---|---|---|---|
| タブレット | 低 | 中 | 1〜2画面、まず試したい |
| テレビ+Fire TV | 中 | 中 | 待合を大画面化したい |
| 専用サイネージ | 中〜高 | 低(遠隔管理) | 複数画面/分院/チェーン |
画面が増えるほど、専用管理の価値が上がります(1画面ならDIYが強い)。
うちではこうする
- 最小構成:待合室・中待合室の2面、テレビ×Fire TV Stick×Amazon Photosで表示する。
- Canvaでテンプレを作る:デジタルサイネージ用テンプレが用意されており、デザイン作成の心理的ハードルが低いのが助かります。
- スライド構成:サイズは16:9で固定、1枚1テーマ、文字は大きく太く、白背景+濃い文字(黒/紺)
- Amazon Photos:アルバムを1つ作り、そこにCanvaから書き出した画像 (JPG) をアップロードする。
あとはテレビで”Amazon Photosアプリのスライドショーを行う”だけで院内デジタルサイネージの完成です。

まとめ
クリニックのデジタルサイネージは、専用機器がなくても テレビ×Fire TV Stick×Amazon Photos×Canvaで簡単に作れます。デジタルサイネージ は“見せる装置”ではなく“診療動線を整える装置”ですので、早めに実装してテンプレと実運用で内容を磨き、必要に応じて連携と多拠点管理へ拡張する——この順番が最短距離です。



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