扶養範囲内とは

2023年7月2日日曜日

クリニック経営

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扶養範囲内ってどういうこと?

扶養範囲内って言葉を聞くことはありませんか?

医療関係の人材確保が厳しい状況のなか、少しの時間でもいいから働いてくれる職員を確保したい。でも、"扶養"、"社会保険料の支払い義務"、"130万の壁" などの言葉をわかってないとスタッフ募集すらできません。

扶養範囲内 の意味をよく分かっていなかったのでまとめてみました。

扶養とは

扶養に関して簡単にまとめると下記のようになります。

・扶養とは自身の稼ぎで生計を立てられない親族に、経済的な援助を行うこと。

・扶養をしている人を扶養者、扶養をされている人を被扶養者という。

・誰かが扶養に入ると扶養者の税金が免税される。また、被扶養者の社会保険料が免除される。

・被扶養者になるには、扶養者と下記の関係にある必要がある。
① 税金の免税に関して:生計を一にしている16歳以上の6親等内の血族もしくは3親等内の婚姻によってできた親族であること。内縁関係などは適用されない。
② 社会保険料免除に関して:生計を一にしている配偶者もしくは3親等内の血族であること。内縁関係の場合も適用される。


実際に扶養にはいるとどのようなメリット、デメリットがあるかをみていきます。


扶養にはいるメリット


扶養者の支払う税金 (所得税) が減税される
→扶養する人 (扶養者) の課税所得を下げる下記の控除を活用できる。

1) 配偶者控除:被扶養者の給与収入が103万以下なら、扶養者の所得から38万円が控除される。
※ 配偶者控除は扶養者の所得が900万を超えると減らされていき、1,000万円を超えると使えなくなる。

2) 配偶者特別控除:被扶養者の給与収入が103万以上201万以下なら、段階的に減っていくが、扶養者の所得からいくらか控除される。
※ 配偶者特別控除も扶養者の所得が900万を超えると減らされていき、1,000万円を超えると使えなくなる。

3) 扶養控除:被扶養者の給与収入が103万以下なら、扶養者の所得から38万円〜63万円が控除される。
※ 控除額は被扶養者の年齢によって異なる。
※ 控除額は被扶養者が 19歳以上23歳未満:63万円、70歳以上:48万円 (同居している親の場合は58万円)、それ以外:38万円。
※ 配偶者控除、配偶者特別控除と異なり、扶養者の所得制限はなく、人数制限もない。

注意点
・給与所得以外の所得がある場合は、1年間の所得が48万円以下で配偶者控除、133万円以下で配偶者控除の対象となる。
・月々の給与ベースではなく、年間の給与ベースになる (年間で給与所得が103万円以内なら配偶者控除を使用可能)。


被扶養者が社会保険料を支払わなくてよくなる
→事業主と折半して払う必要がある社会保険料を支払わなくても、健康保険が使える、年金がもらえる。

被扶養者の給与収入が130万以下なら社会保険の扶養に入ることが可能。

注意点
・月々の給与ベースで判断されるため、月給が10万8333円を超えてしまうと (年間で給与収入130万円以内でも)、被扶養者から外れてしまう。
・給与所得元の企業の規模によっては、給与所得が106万を超えると社会保険に加入する必要がある。現在は従業員が101人以上の企業が対象だが、2024年10月からは従業員が51人以上の企業が対象となる。

注意点
・各種年金等も所得に含む必要がある。


扶養にはいるデメリット


① 働く時間を増やすと手取り額が減ってしまう給与帯がある。
→給与収入で103万円の壁、130万円の壁がある (手取り額が減るのでそれ以上働きづらい)。

②  年金の受給額が減る。1年間の収入が130万円未満の場合は第3被保険者になるため、受け取れる年金が国民年金のみとなる。


結局、給与所得がある程度以上を超えてしまうと、
・扶養してくれる人の税金が増える (手取り額が減る)。
・自分の社会保険料を支払わないといけない。
という状況になる。

どれくらいの給与をもらうのがベストなのか?

では、実際にどれくらいの給与所得がある場合が得なのでしょうか。
所得税、住民税も支払う義務があるので、簡単に表にまとめてみました。

給与

所得

/年

配偶者

控除

配偶者

特別控除

社会

保険料

支払い

所得税

支払い

住民税

支払い

メモ

手取り (概算)

~100万

38万

0

なし

なし

なし



100万~

38万

0

なし

なし

あり

住民税がかかり始める


103万

38万

0

なし

なし

あり


102万7000円

103万~130万

0

38万

なし

あり

あり

所得税がかかり始める


129万

0

38万

なし

あり

あり


124万1000円

130万~150万

0

38万

あり

あり

あり

社会保険料がかかり始める


131万

0

38万

あり

あり

あり


109万3750円

150万

0

38万

あり

あり

あり


126万3750円

150万~201万

0

36万→

3万まで減少する

あり

あり

あり

配偶者特別控除が減り始める


201万

0

0

あり

あり

あり

控除がなくなる

163万


・130万円~150万円の給与所得の場合は、働いても手取り額が増えるどころか減ってしまう。
・130万円分以上働く場合は、150万円分以上働いて稼がないと自分に残るお金は増えない。

まとめ

・扶養にはいると、扶養者の税金免税、被扶養者の社会保険料免除がある。
・扶養に入るメリットを生かすには、給与所得で103万円の壁、130万円の壁、150万円の壁、201万円の壁があることを理解しました。

働いても手取り額が減るなんて馬鹿な話ですね。
さっさと、この制度を変えてほしいです。

2024年10月からは、従業員51人以上の企業でも給与所得106万超えの方は社会保険に加入する義務がでてきます。
従業員も雇い主も支払いが増えるってことですよね。厳しい。

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医科クリニック開業準備中の医師。やる気はあるけど、知識がない。気になったことを勉強してまとめていきたいと思います。
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