論文紹介 2025年9月 ①

診療が落ち着いた今こそ、情報チャージのチャンス。

今月も、注目の論文を厳選してご紹介します。知っておきたい内容ばかりですので、ざっと目を通すだけでも十分価値ありです。

Pubmedへのリンクも貼ってますので詳しく確認したい方はそちらからお願いします。

がむしゃら院長
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X (旧Twitter) にも載せています。宜しくお願いします。

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2025年9月の論文紹介①です

2025年9月に発表された論文から7編をご紹介します。気になったものから読んでみてください。

膵臓癌関連糖尿病と2型糖尿病はグルコース代謝特性が異なる

背景:膵管腺癌関連糖尿病(PDAC-DM)は2型糖尿病と臨床的に混同されやすく、早期膵癌診断遅延の一因と考えられていた。
方法:PDAC-DM患者28例と2型糖尿病患者97例で混合食負荷試験を実施し、インスリン感受性、分泌、β細胞機能、インスリンクリアランスなどを比較。
考察:PDAC-DMは2型糖尿病に比べインスリン分泌が著しく低く、インスリン感受性は高い。またインスリンおよびα細胞調節に差を認め、両者は代謝的に明確に異なる。

Diabetologia, 2025年12月
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40991017/


がむしゃら院長
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膵臓癌関連糖尿病と2型糖尿病は代謝特性が異なる
膵癌の早期発見につながる可能性ありか。

1型糖尿病成人におけるスタチンの一次予防としての安全性と有効性:エミュレーション研究

背景:1型糖尿病(T1DM)患者の心血管疾患(CVD)・全死亡の一次予防にスタチンを用いる明確なエビデンスはなく、実臨床効果の評価が求められていた。
方法:英国のプライマリケアデータを用い、T1DM患者4,176名のスタチン開始群と16,704名の非開始群を対象に、中央値6年追跡のターゲットトライアル・エミュレーション解析を実施。主要アウトカムは全死亡と主要CVD発生。
考察:スタチン開始は全死亡・主要CVDの10年リスクを有意に低下させた(全死亡 RD_IT T −1.66%、RD_PP −3.48%;主要CVD RD_IT T −1.63%、RD_PP −2.69%)。副作用として肝機能障害の軽微増加の可能性を示唆。

J Am Coll Cardiol., 2025年9月16日
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40930617/


がむしゃら院長
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1型糖尿病成人におけるスタチン内服は心血管疾患予防に有用
やっぱりスタチンは長寿の薬

口腔内細菌・真菌叢と膵臓がん発症リスクの関連:前向きコホート研究

背景:口腔内微生物の偏りが膵臓がんリスクに関与する可能性が示唆されていたが、前向きデータは限られていた。
方法:米国の大規模2コホートより口腔サンプル提供者445例の膵臓がん発症例と445例の非発症対照を1:1マッチ。全ゲノムショットガンとITSシーケンスで細菌・真菌を評価し、微生物リスクスコア(MRS)を構築。
考察:Porphyromonas gingivalis、Eubacterium nodatum、Parvimonas micraなど複数の口腔細菌・真菌が膵臓がんリスクと関連。MRSは1標準偏差増でリスクが有意に上昇(OR 3.44)。微生物叢は高リスク群識別のバイオマーカーとして有望。

JAMA Oncol.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40965868/


がむしゃら院長
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口腔内細菌・真菌叢が膵臓がん発症リスクと関連している
原因なのか結果なのか それが重要

胃がん早期検出のためのエクソソーム液体生検:DESTINEX 多施設研究

背景:胃がんは早期発見が困難で死亡率が高く、非侵襲的で高精度なスクリーニング方法が求められていた。
方法:日本・韓国の4主要施設で2016–2020年に収集された809検体を用い、細胞外エクソソーム由来 miRNA シグネチャを識別・訓練・検証。最終的に 10-miRNA DESTINEX アッセイを開発し、胃がん検出性能を評価した。
考察:DESTINEX シグネチャは訓練・検証コホートともに AUC ≈95% 以上と高精度で胃がんを識別し、特に早期病期(pT1)でも高い検出能を示した。手術後血清での miRNA 減少は特異性を支持した。

JAMA Surg., 2025年9月1日
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40737022/


がむしゃら院長
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エクソソームのmiRNAから早期胃癌を識別
pT1でも識別できるのはすごい けどお金かかるから微妙か

腹腔鏡手術 vs ロボット支援腹部手術における術後肺合併症:国際前向きコホート統合解析

背景:ロボット支援手術(RAS)は普及しているが、従来型腹腔鏡(CLS)より術後肺合併症(PPC)が多い可能性が指摘され、要因の同定が必要だった。
方法:LAS VEGAS研究とAVATaR研究の個票データを統合(LapRAS DB)。2013年1月〜2019年3月、31か国163施設の成人2,738例(RAS 903、CLS 1,835)で、術後5日以内のPPC発生を比較。換気時間と換気強度(4×Driving Pressure+RR)も解析。
考察:PPCはRASで19.0%、CLSで9.5%。ただし多変量解析では「術式(RAS/CLS)」ではなく「術中換気時間」がPPCと独立して関連(aOR 1.49)し、RASで換気が長いことが高PPC率の主因と示唆。

JAMA Surg., 2025年11月1日
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40960804/


がむしゃら院長
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ロボット支援手術で術後肺合併症が多いのは術中換気時間が長いから
結局、オペ準備時間・オペ時間が長いと術後合併症が多いってことか

高度肥満治療:減量手術(MBS) vs GLP-1受容体作動薬の体重減少と継続コスト比較(米国コホート)

背景:高度肥満(class II/III)の有効治療はMBSだが“最終手段”扱い。GLP-1RA普及で、効果と費用の比較が必要。
方法:米国(Highmark保険請求+Allegheny Health Network EMR)のコホート。MBS 14,101例 vs GLP-1RA 16,357例(計30,458例)を傾向スコア重み付けで調整し、2年の体重減少と月次継続コストを比較。
考察:2年総コストはGLP-1RAが高額($63,483)で、主因は薬剤費の持続。体重減少はMBSが大(28.3%)でGLP-1RA(10.3%)を上回り、MBSは「より減って、継続コストも低い」可能性。

JAMA Surg., 2025年
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40960852/


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高度肥満には減量手術の方がGLP-1受容体作動薬よりも効果・費用ともに有用
太りすぎには手術を選択

右側結腸癌に対する切除範囲の差と長期生存:RELARC試験5年追跡結果

背景:右側結腸癌に対し、標準的なD2リンパ節郭清と、より広範な完全中膜切除(CME)の長期生存への効果は不明であった。
方法:中国17施設のRELARCランダム化比較試験で、2016〜2019年に1072例登録、995例をmodified intention-to-treat解析。主要評価は5年全生存(OS)、副次評価は5年癌特異生存(CSS)。
考察:5年OS・CSSにはCMEとD2で有意差なし。しかしステージIII、特にpN2例ではCMEがOS・CSSを改善(例:pN2群 OS HR 0.25)。リンパ管侵襲(LVI)陽性例でも相対的恩恵を示した。

Ann Surg., 2025年9月12日(電子先行)
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40938728/


がむしゃら院長
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右側結腸癌のStageIIIではD2郭清よりCMEした方がいい
やっぱりそうでしょう

まとめ

手術のエビデンスも結構でてきます。まだまだ手術も進化するか。

がむしゃら院長
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肥満患者さんには減量手術が勧められるようになりそうです。日本では条件が厳しいからどうなるか。

できることを最大限に。がむしゃら院長でした。

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