
ちょっと気になる論文、つまみ読みしませんか?
臨床にすぐ使えるものも、思考を刺激するものも混ぜてご紹介します。コーヒー片手に、どうぞ気楽にお付き合いください。
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- 2025年7月の論文紹介②です
- 虫垂切除を待つ間の術前抗生物質投与の役割:PERFECT-Antibiotics 非劣性RCT
- 胃癌に対する開腹 vs 低侵襲手術の周術期成績:ヨーロッパ多施設GASTRODATAレジストリ研究
- 腹部手術における術前抗菌薬プロフィラキシスのタイミングは感染合併症に影響せず──レトロスペクティブ解析
- ACLY 阻害が腫瘍免疫を活性化し、脂肪性肝炎由来肝細胞がんを抑制
- 中・下直腸癌に対するロボット手術 vs 腹腔鏡手術:REAL 無作為化臨床試験
- 循環腫瘍DNAベースの血液テストによる大腸がんスクリーニングの臨床的検証
- 低リスク分化型甲状腺がん患者における術後放射性ヨウ素療法の有無:避けても非劣性を達成(IoN試験)
- 急性増悪時における末梢好酸球数は喘息増悪の重症度評価に有用なバイオマーカーである
- まとめ
2025年7月の論文紹介②です
2025年7月に発表された論文から8編をご紹介します。気になったものから読んでみてください。
虫垂切除を待つ間の術前抗生物質投与の役割:PERFECT-Antibiotics 非劣性RCT
背景:急性単純性虫垂炎に対し、虫垂破裂リスク減少のために術前に抗菌薬を投与する役割は不明であり、臨床実践は一様でなかった。
方法:フィンランド2施設およびノルウェー1施設において、成人の単純性虫垂炎患者1,797名を、術前にセフロキシム+メトロニダゾールを投与する群(n=901)と投与しない群(n=896)に無作為割付し、破裂率および術後創部感染率を比較。
考察:虫垂破裂率には群間差なく、非劣性(8.3% vs 8.9%, 差0.6ポイント; 95% CI –2.0〜3.2)を確認。だが、術後創部感染率は抗生物質群で有意に低減(1.6% vs 3.2%)していた(P = 0.03)。
JAMA Surg., 2025年7月1日
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40366704/


虫垂切除を待つ間の術前抗生物質投与は創部感染率をさげる
オペ待ちの間に抗生剤投与が有用なのか いままでしたことなかったな 勉強になる
胃癌に対する開腹 vs 低侵襲手術の周術期成績:ヨーロッパ多施設GASTRODATAレジストリ研究
背景:ヨーロッパにおける胃切除の低侵襲手術(MIG)と開腹(OG)のリアルワールドでの比較は限られていた。
方法:2017〜2021年、24施設・2,430例(OG 1,800例、MIG 630例)を対象に傾向スコアマッチングで比較。術式別に、副切除(subtotal)と全切除(total)に分けて解析。
考察:MIGはR0切除率が高く(96.5% vs 92.4%)、入院短縮、周術期合併症(23.0% vs 31.6%)、30日/90日死亡も減少(30日:1.6% vs 3.3%、90日:1.9% vs 4.7%)。傾向スコア解析では、低侵襲が有意に良好だったのは部分切除で、全切除では差なし。
Ann Surg., 2025年7月24日(電子先行)
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40704697/


胃癌に対する開腹 vs 低侵襲手術の短期成績は低侵襲手術が良好
ヨーロッパでも結果が 開腹手術はレアな手術になりそう
腹部手術における術前抗菌薬プロフィラキシスのタイミングは感染合併症に影響せず──レトロスペクティブ解析
背景:ガイドラインでは抗菌薬のタイミングが重視されるが、その最適な時期設定の実効性には議論があった。
方法:ドイツの単施設で2013–2018年の開腹 elective CDC II–III 腹部手術1,193例を対象に、抗菌薬投与が切開の30分以内(NT)かそれより前(OT)かで比較(傾向スコアマッチング使用)。
考察:術後感染合併症に対して、投与のタイミング(NT vs OT)に差は認められなかった。手術時間の長い症例では若干の効果が見られたが、耐性菌の有無も影響せず、時間厳守に固執するより個別判断の重要性を示唆。
Ann Surg., 2025年7月7日(電子先行)
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40623162/


腹部手術における術前抗菌薬投与は30分以内でなくてもいい
そうなんだ じゃあオペ室持参のオーダーいらんやん
ACLY 阻害が腫瘍免疫を活性化し、脂肪性肝炎由来肝細胞がんを抑制
背景:MASH(代謝性脂肪性肝炎)に伴う肝細胞がん(HCC)は腫瘍免疫回避環境を形成し、治療抵抗性を示すことが多い。
方法:マウスモデルに加え、新規ACLY阻害剤 EVT0185 を用いてMASH-HCCの腫瘍負荷、生存、および免疫細胞浸潤や転写プロファイルの変化を評価。
考察:ACLY阻害により腫瘍負荷が70%以上減少し、CXCL13や腫瘍浸潤B細胞、三次リンパ構造が増加。B細胞除去では効果が消失し、腫瘍免疫の再構築に重要な役割を示唆。
Nature, 2025年7月30日(オンライン先行)
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40739358/


肝細胞がん(HCC)においてACLY阻害でCXCL13や腫瘍浸潤B細胞、三次リンパ構造が増加し腫瘍を縮小させる
腫瘍浸潤B cell が重要 研究してたころreviewerに叩かれたけどやっぱりそうかー
中・下直腸癌に対するロボット手術 vs 腹腔鏡手術:REAL 無作為化臨床試験
背景:ロボット手術は普及しているが、長期の腫瘍学的な優越性の証拠は限られていた。
方法:2016年7月~2020年12月に中国11施設で中・下直腸腺癌の患者1,240名をロボット群(n=586)または腹腔鏡群(n=585)に無作為割付し、3年局所再発率および無病生存を比較。
考察:3年局所再発率はロボット群1.6% vs 腹腔鏡群4.0%(HR 0.45, P=.03)、3年無病生存率は87.2% vs 83.4%(HR 0.74, P=.04)。尿・性・排便機能の早期回復も認められた。腫瘍学的にも機能的にもロボットが優勢。
JAMA 2025年7月
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40455621/


中・下直腸癌に対する手術は腹腔鏡手術よりロボット手術が有用
まじかー 日本とかでも実際はそうなんかな?田舎で手術ができなくなるな
循環腫瘍DNAベースの血液テストによる大腸がんスクリーニングの臨床的検証
背景:大腸がんスクリーニングの受診率は低く、より簡便な非侵襲的検査法が求められていた。
方法:米国27,010名の無症候・平均リスク成人を対象に、ctDNAベースの血液検査とコロノスコピーを比較。主要評価は感度・特異度・陽性的中率・陰性的中率。
考察:大腸がんの感度79.2%、特異度91.5%、陰性的中率90.8%。進行前がん病変への感度は12.5%と低く、現時点ではコロノスコピーの補完的手段として位置づけられる。
N Engl J Med., 2025年7月4日
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40455622/


循環腫瘍DNAベースの血液テストによる大腸がんスクリーニングの感度は低い
まだ厳しい やっぱり便潜血+大腸カメラ
低リスク分化型甲状腺がん患者における術後放射性ヨウ素療法の有無:避けても非劣性を達成(IoN試験)
背景:低リスク分化型甲状腺がんでは、全摘術後に放射性ヨウ素(RAI)を施行する標準的な慣習があるが、その必要性を見直す声があった。
方法:英国33施設で、pT1–pT3a、N0/Nx/N1a の低リスク患者504名を対象に、全摘後の RAI 施行群(1.1 GBq)vs 非施行群で、5年再発無再発生存(RFS)を比較する非劣性ランダム化第III相試験。
考察:5年RFSは非施行群97.9% vs 施行群96.3%、リスク差0.5ポイント(95% CI –2.2〜3.2, 非劣性達成)。副作用は疲労など軽微で、治療関連死亡なし。低リスク症例ではRAI省略が安全で、患者負担と医療費の軽減に資する可能性がある。
Lancet, 2025年7月5日
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40543520/


低リスク分化型甲状腺がんでは、全摘術後に放射性ヨウ素(RAI)を施行する必要なし
はい
急性増悪時における末梢好酸球数は喘息増悪の重症度評価に有用なバイオマーカーである
背景:好酸球性喘息は増悪が頻繁だが、急性増悪時の末梢血好酸球数の臨床的意義は不明だった。
方法:2016〜2023年に救急受診または入院を要した成人喘息増悪11,178例のうち、11,178例の好酸球数測定を分析。入院リスク、必要ケアレベル、入院期間、退院率との関連を評価。
考察:好酸球 150〜300 cells/µL では入院リスク最小。それより低値(30)または高値(1,000)では入院リスク増加(OR 1.39–1.55)。入院例では好酸球 ≥300 で在院日数短縮(3.1日 vs 2.4日)および退院率向上(HR 1.34)。急性期対応において好酸球数は重症度と経過予測に有用な指標である。
Ann Allergy Asthma Immunol., 2025年7月
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40254093/


気管支喘息の急性増悪時は好酸球数 150〜300 cells/µL で入院リスク最小
低くてもよくないんだ 覚えておく
まとめ
久々に呼吸器系の論文をチェック。
循環器系、呼吸器系の論文検索を。

論文検索が偏っているのを感じます。もっと多方面からの検索を試みます。
できることを最大限に。がむしゃら院長でした。



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