クリニックの経営において、患者さんの「初診」以上に重要なのが「 再診 (リピーター)」の存在です。今回は、 再診 患者さんを増やすために必要な考え方と仕組みを、5つのステップに分けて考えてみました。「また来たくなる」仕掛けを整えていくことが、地域で一番のクリニックへの第一歩です。

初診時の満足度を最大化する(初診=勝負)
初診の印象が悪ければ、 再診 はありません。逆に、初診で感動すれば、多少遠くてもまた来てくれる。それくらい、初診の体験設計はクリニック経営の要です。
最初の1回で「このクリニックなら信頼できる」と思ってもらうには、診療以外の細やかな部分にも注意が必要です。受付から診察、会計まで、患者さんの心に残る導線を設計しましょう。
診療体験全体を設計する
- 医師の説明が丁寧か?(図や模型も活用)
- 看護師・受付が親切丁寧に対応できているか
- 清潔感のある院内、過ごしやすい空間
- 待ち時間・会計のストレスを最小限にする仕組み
些細なことほど「このクリニックはちゃんとしている」と感じてもらえます。
「また来る理由」を明確にする(リピート設計)
まず大切なのは、「なぜ再診が必要なのか?」という理由を、私たち医療者側がきちんと理解し、それを患者さんに伝えることです。
再診は単に「薬がなくなったから受診するもの」ではなく、医療的な意義や継続的なフォローが必要であることを明確にする必要があります。
また、個人的に重要だと考えているのが、「このクリニックでは、こんな病気も診てもらえるんだ」「こういった検査もできるんだ」と患者さんに感じてもらうことです。
患者さんは、体調に不調を感じたとき、「これは何科に行けばいいのか」と迷うものです。そんなとき、以前かかったクリニックで幅広く対応してくれる印象があれば、自然と再び足を運んでもらえる可能性が高まります。
新患の集客では、ある程度ターゲットを絞って戦略を立てることが重要ですが、再診に関しては、できるだけ広い層を対象にする方が効果的です(もちろん、新患の段階でターゲットを広げても患者さんが集まる「ウハクリ」なら話は別ですが)。
診療内容ごとの再診の必要性を明示する
- 生活習慣病:定期的な血液検査や内服薬の調整
- 花粉症・アレルギー:季節ごとの予防的処方
- 内視鏡や超音波検査など:予防医療として定期的な検査の必要性
- 不眠・うつ:状態の変化に応じた薬の調整
多くの疾患を診察可能で、そのための検査ができることを発信する
- 診療案内やホームページに「対応疾患・検査内容」を具体的に記載する
- 院内掲示やパンフレットで「できる検査」を見える化する
- 初診・再診時の診察で「他にも気になることがあれば相談ください」と声をかける
- ブログやSNSで「症例紹介」や「対応できる病気・検査」について発信する
- スタッフも「当院でできること」を共有・説明できるようにしておく
次回来院のハードルを下げる(仕組み化)
初診から次回までの間に少しでも「来院しづらさ」があると再診率は大きく落ちます。予約のしやすさやリマインドの仕組みなど、気軽にアクセスできる環境を整えることが重要です。
「また来てくださいね」だけでは、患者さんは忘れてしまいます。再診につながるよう、来院導線をしっかり設計しておきましょう。
再診しやすい仕組みを作る
- 「次はこの検査をしましょう」と明確な診療計画を提案する
- 診察室で次回来院日をその場で伝える(紙で渡すのも効果的)
- 生活指導・栄養指導などの継続プログラムを導入する
- Web予約・LINEリマインド・WEB問診などを整備する
- 全スタッフと次回来院の情報を共有し、次回案内を徹底する
- 物理的に受診しやすい状況をつくる (駐車場の整備、診察時間の延長など)
「行く理由」+「行きやすさ」の両輪が揃えば、再診率は格段に上がります。
特に高齢の方には「電話での予約可」や「家族と一緒の受診」なども重要な要素です。
継続したくなる関係性を築く(信頼)
患者さんは「治療の正確さ」だけでは動きません。「人」として信頼されるかどうか。これは医師だけでなく、スタッフ全員の対応も含めた総合評価です。
嫌なやつがいるところには患者さんは行きません。少し前のクリニックやブランド大病院などではある程度許されるのかもしれませんが、今後の医療サービスは「人」で選ばれる時代です。生き残りたければ意識して取り組みましょう。
人と人との信頼を意識する
- 毎回の診察で、患者さんの変化や努力に触れる
- 名前で呼ぶ、表情を見る、小さな声かけを大切にする
- 「前回の症状はどうなりましたか?変わりはありませんか?困ってることはないですか?」と声をかける
- 診療メモに雑談ネタや家族情報、趣味の情報も残す
- 医師だけでなく、スタッフも一体となって笑顔とアイコンタクトを意識する
信頼関係は、毎回の診療体験の積み重ねでしか築けません。体験の積み重ねが「このクリニックで診てもらいたい」という再診動機になります。
データで再診を振り返る(PDCA)
感覚で動くのではなく、データで再診率を見える化し、継続改善していく体制づくりが必要です。属人的にしないことで、組織としての再診力が高まります。
指標をもとに改善サイクルを回す
| 指標 | 内容 | 改善のヒント |
|---|---|---|
| 再診率 | 初診後1ヶ月以内の再来率 | 初診説明、LINE通知の強化 |
| 通院継続率 | 3ヶ月以上通っている人の割合 | 通いやすさ、関係性の構築 |
| 離脱理由 | 来なくなった患者さんの声 | 動線、待ち時間、対応の見直し |
「感覚と現実のズレ」に気づくことが、改善の第一歩になります。
可視化されたデータはスタッフ教育にも活用でき、数値目標の設定にも役立ちます。
うちではこうする
- 初診時に最大限の配慮を行う
- 再診につながるよう、診察室で「次回案内」を必ず実施
- 患者さんとの関係性メモをカルテに残し再診時に伝えることで「このクリニックはこんなことまで覚えてくれてるんだ」という満足感を持ってもらう
- 多くの疾患を診察可能で、そのための検査ができることを多くの媒体で発信する
- この対応は良くないと感じたときは全スタッフがお互いに指摘する
- スタッフ全員に「再診患者さんをファンにする」意識を徹底させる
- Power BIでデータを可視化・改善する
まとめ
再診患者さんを増やすために必要なのは、「来てくれてありがとう」という気持ちと、「また来たくなる」仕組みの両立です。信頼される診療を行い、再診への導線を意識して設計する。これを丁寧に積み重ねていくことが、地域で選ばれるクリニックとなる第一歩です。



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