
論文って、全部読む必要はないと思っています。
「概要を知っておく」「知識の引き出しに入れておく」だけでも十分。今回は、そんな“引き出しに入りそうな話題”をいくつかまとめました。
Pubmedへのリンクも貼ってますので詳しく確認したい方はそちらからお願いします。

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2025年6月の論文紹介②です
2025年6月に発表された論文から6編をご紹介します。気になったものから読んでみてください。
局所進行または境界切除可能な膵癌患者における切除後の短期および長期成績の比較
背景:局所進行(LAPC)膵癌に対し、導入化学療法後に切除を行う治療成績は、境界切除可能(BRPC)例との比較で不明だった。方法:2つの全国前向きデータベースより、LAPC切除例(n=103)とBRPC切除例(n=776)を比較。術後合併症、90日死亡率、再発間隔、生存期間を評価。
考察:LAPC切除群の術後膵臓合併症や90日死亡率はBRPC群と同等。無病生存期間は両群共に13か月、生存期間もLAPC群24か月、BRPC群19か月で差なし(P=0.34)。慎重に選ばれたLAPC患者では切除の妥当性が示唆される。
Ann Surg., 2025年6月1日
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38557955/


局所進行膵癌に対し、導入化学療法後に切除を行うと予後はよくなる可能性あり
膵癌に関してはもっと予後改善してほしい 消化器外科の先生方、よろしくお願いします
局所進行膵癌に対する臓器動脈間置グラフト再建の成績
背景:局所進行膵癌での動脈浸潤症例では手術適応が限定されていたが、近年の術前治療により動脈切除・再建も可能になりつつある。
方法:2002〜2022年に動脈切除と間置グラフトによる再建を伴う膵切除を受けた111例を後ろ向き解析。
考察:90日死亡率は近年では5%まで低下。血管合併症は11%、17ヶ月中央値追跡でグラフト一次通過率は81%、特に自家大腿浅動脈が95%と良好で、耐久性の高い再建法と評価。
Ann Surg., 2025年6月1日
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38771952/


局所進行膵癌に対する臓器動脈間置グラフト再建が施行可能に
一つ前の論文と合わせて考えると、自家大腿浅動脈のグラフとで膵癌をとってしまう治療が選択肢に
膵頭十二指腸切除術における動脈切除の種類が予後に与える影響
背景:術前補助療法後の動脈合併切除(PAR)は注目されているが、切除部位ごとの予後差は不明だった。
方法:1991〜2024年にPARを受けた278例を後ろ向き解析。切除動脈は肝動脈(HA)、上腸間膜動脈(SMA)、腹腔動脈(CT)に分類し、生存と合併症を比較。多変量解析を実施。
考察:90日死亡率5.4%、重大 morbidity 47%。中央値OSは診断から26ヶ月、手術後20ヶ月。1‑, 3‑, 5‑年生存率は69%、28%、17%。HA、SMA、CT 間で生存に有意差なし。正常 CA19‑9 や低Tステージの方が予後良好。切除動脈の種類ではなく、腫瘍の生物学的特性が予後を左右。
Ann Surg., 2025年6月9日(電子先行)
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40488404/


術前補助療法後の膵癌で合併切除した動脈は予後と関連なし
局所進行膵癌での動脈浸潤症例は術前補助療法後にとれるならとったほうが予後が良いってことか
完全ロボットによる生体肝移植(成人受給者)における短期成績の改善:比較研究
背景:生体肝移植(LDLT)は難易度が高く、従来は開腹手術が主流であったが、ロボット手術の安全性・利点が注目されていた。
方法:成人LDLTのうち、開腹453例と完全ロボット54例について、CCI®による合併症評価など短期成績を多変量回帰で比較。
考察:ロボット群は出血量が650 vs 2,000 ml、ICU滞在3 vs 5日、入院14 vs 20日、感染率9.3% vs 42.8%、CCI®15.0 vs 20.9、6か月生存98.1% vs 91.8%、受益者生存100% vs 91.8%と全て改善。安全かつ回復が早く、将来的な普及に期待。
Ann Surg., 2025年6月20日(電子先行)
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40539273/


完全ロボットによる生体肝移植(成人受給者)は短期成績良好
ついに肝移植までロボットに すごい!
手術 vs コルチコステロイド注射による手根管症候群の治療:DISTRICTS多施設RCT
背景:手根管症候群の初期治療として、手術と注射のどちらが回復に優れるかは未解明だった。
方法:オランダ31施設で、確電・画像検査で診断された934名を対象に、手術群と注射群に無作為割付(2017–2021年)。主要評価は18か月後の回復率(CTSスコア<8)。
考察:手術群の回復率は61%、注射群は45%で、手術開始の方が18か月後の回復に有意に優れる(RR 1.36、95% CI 1.19–1.56、p<0.0001)。有害事象率は両群類似。
Lancet, 2025年6月14日
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40517008/


手根管症候群の初期治療として、ステロイド局注より手術が有用
いきなり手術、は考えてしまう
ミスマッチ修復欠損固形腫瘍に対する非手術管理:ネオアジュバント PD‑1 抑制療法による臓器温存試験
背景:早期ステージかつ外科治療可能な dMMR 固形腫瘍で、手術を回避できる非手術戦略の有効性は不明だった。
方法:ステージⅠ–Ⅲの dMMR 固形腫瘍患者(直腸がんおよびその他を含む計117例)に対し、術前に PD‑1 抑制薬 dostarlimab を6ヶ月投与し、臨床的完全奏効なら手術回避。
考察:直腸がん群49例では全例が完全奏効し非手術管理を選択、12ヶ月維持。非直腸固形腫瘍群でも奏効は多く、2年無再発生存率は92%。有害事象はほとんどがGrade 1–2で可逆的。侵襲回避へ新たな道。
N Engl J Med., 2025年6月19日
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40293177/


直腸癌以外でもミスマッチ修復欠損固形腫瘍の予後はPD‑1 抑制薬 dostarlimabで良好
すごい結果 直腸癌以外でもミスマッチ修復遺伝子は調べたほうがいいってことか
まとめ
手術関連の論文が多くなりました。手術も進歩しているし、手術しなくてもいい癌も区別できるようになってきてます。

医療はどんどん進化していてすごいですね!手術が進化しているのをみると消化器外科に戻りたくなります。
できることを最大限に。がむしゃら院長でした。



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