
今日もお疲れ様です。
日々の診療に追われると、新しい論文に目を通す時間を確保するのが難しいですよね。そこで、今回は最近の話題の研究をサクッと読める形でご紹介します。隙間時間に軽く目を通して、知識のアップデートにご活用ください。
Pubmedへのリンクも貼ってますので詳しく確認したい方はそちらからお願いします。

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2025年4月の論文紹介①です
2025年4月に発表された論文から7編をご紹介します。できるだけいろんな方面から選んでますので、気になったものから読んでみてください。
集中治療室における肝膿瘍の予後(POLAIR)、多施設観察研究。
背景:肝膿瘍(LA)は稀だが致死的な疾患であり、集中治療室(ICU)への入室を要する重症例の予後は不明である。
方法:2010年から2020年にフランスの24のICUに入室した成人LA患者335人を対象とした多施設後ろ向き観察研究。死亡リスク因子を多変量解析および傾向スコアで評価。
考察:ICU死亡率は11.6%。SOFAスコアの上昇(HR 3.45)および門脈血栓症(HR 3.14)が死亡リスクと有意に関連。ドレナージは短期生存率の改善と関連しなかった。
Crit Care, 2025年
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40197508/


肝膿瘍患者へのドレナージは短期生存率の改善と関連しなかった。
早く治癒するからドレナージはすべきと思う。けど、生存率に寄与するのは全身状態の改善につきるということか。
胃バイパス術とスリーブ状胃切除術の2型糖尿病寛解、体重減少、心血管リスク因子への5年間の効果(Oseberg試験)
背景:肥満と2型糖尿病を有する患者において、2つの主要な減量手術の長期的な代謝効果を比較。
方法:ノルウェーの単一施設にて、109人を胃バイパス群(54人)とスリーブ状胃切除群(55人)に無作為割り付け。三重盲検、5年間追跡。
考察:胃バイパス群はスリーブ群に比べ、糖尿病寛解率(50% vs. 20%)、体重減少率(22.2% vs. 17.2%)、LDL低下において優れていたが、食後低血糖は多かった(28% vs. 2%)。
Lancet Diabetes Endocrinol, 2025年
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40185112/


胃バイパス術とスリーブ状胃切除術では糖尿病寛解率、体重減少率ともに胃バイパス術がすぐれている。
なんでだろ。スリーブにしたらあまり食べれなくなる気がするけど。
40〜75歳の患者における生体弁と機械弁の大動脈弁置換術の比較
背景:大動脈弁狭窄症患者に対する生体弁と機械弁の選択は、年齢や合併症リスクに基づいて行われるが、中年層における最適な選択は明確でない。
方法:米国の複数施設で実施された前向きコホート研究。40〜75歳の大動脈弁狭窄症患者を対象に、生体弁置換術群と機械弁置換術群に割り付け、術後の全死亡率、再手術率、出血合併症の発生率を比較。
考察:生体弁群は機械弁群と比較して、再手術率が高かったが、出血合併症の発生率は低かった。全死亡率に有意差は認められず、患者の年齢や出血リスクに応じた弁種の選択が重要であることが示唆された。
J Am Coll Cardiol, 2025年
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40139884/


生体弁群は機械弁群と比較して、再手術率が高いが、出血合併症の発生率は低い。
過去のデータ通りの結果。ずっとワーファリンを飲むのと、再手術の可能性が高いのはどっちがいいか悩む。
低リスク大動脈弁狭窄症患者における経カテーテルおよび外科的大動脈弁置換術の5年後の転帰
背景:重度大動脈弁狭窄症の低リスク患者に対する経カテーテル大動脈弁置換術(TAVR)と外科的大動脈弁置換術(SAVR)の長期的な有効性と安全性を比較。
方法:Evolut Low Risk試験において、重度大動脈弁狭窄症の低リスク患者1,414人をTAVR群(730人)とSAVR群(684人)に無作為に割り付け。主要評価項目は全死亡または重度の脳卒中の発生率。副次評価項目として、心血管死亡、再手術率、生活の質を含む。
考察:5年後の全死亡または重度の脳卒中の発生率は、TAVR群で15.5%、SAVR群で16.4%(P=0.47)と有意差なし。心血管死亡率、再手術率、生活の質の改善も両群で同等であり、TAVRはSAVRに対して非劣性であることが示された。
J Am Coll Cardiol, 2025年
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40158212/


心血管死亡率、再手術率、生活の質の改善も両群で同等。
医療費の問題はあるだろうけど、ますますカテーテル治療が選択されそう。
中等度以上のリスクを有する患者における経カテーテルおよび外科的大動脈弁性能が5年間の転帰に与える影響
背景:生体弁機能不全(BVD)は、経カテーテル大動脈弁置換術(TAVR)および外科的大動脈弁置換術(SAVR)後の長期的な臨床転帰に影響を及ぼす可能性があるが、その発生率と臨床的意義は十分に理解されていない。
方法:米国の高リスク試験(n=726)およびSURTAVI試験(n=1,618)のランダム化比較試験(RCT)データに加え、極高リスク試験(n=608)およびCoreValve継続アクセス研究(n=2,654)のデータを統合。主要評価項目は5年間のBVD発生率であり、RCTおよび非RCT集団におけるBVDと5年後の臨床転帰との関連を評価。
考察:RCT患者におけるBVD発生率は、CoreValve/Evolut TAVR群で9.7%、SAVR群で15.3%と、TAVR群で有意に低かった(ハザード比0.57、95%信頼区間0.45-0.73、P<0.001)。BVDの発生は、5年後の全死亡率(ハザード比1.49)、心血管死亡率(ハザード比1.76)、弁疾患または心不全による入院率(ハザード比1.48)の増加と有意に関連していた。
J Am Coll Cardiol, 2025年
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40175015/


生体弁機能不全発生率は、TAVR群で有意に低かった。
さっきの論文もそうやけど、これがでちゃうとますますカテーテルの選択が増える。
タキサン誘発性末梢神経障害予防における手の冷却および圧迫の有効性:POLARランダム化臨床試験
背景:タキサン系化学療法による末梢神経障害(CIPN)は、治療中断や生活の質低下を引き起こす重大な副作用であり、予防策が求められている。
方法:ドイツ・ハイデルベルクの国立腫瘍疾患センターで実施されたPOLAR試験において、乳がん患者122人を対象に、支配手に対する冷却または圧迫の介入を行い、CIPNの発症率を評価。
考察:冷却群ではCIPNグレード2以上の発症率が29%、圧迫群では24%であり、いずれも対照群と比較して有意に低下。両介入はCIPN予防に効果的であることが示された。
JAMA Oncol, 2025年
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40048176/


タキサン誘発性末梢神経障害の予防には手の冷却と圧迫が良い。
そうなんだ 知らなかった。。
技術的に切除可能な膵癌に対する非手術的管理:アブレイティブ放射線療法の有効性
背景:切除可能な膵管腺癌(PDAC)において、手術は長期生存を改善するが、術後の合併症や全身療法の遅延が課題であり、高齢や併存疾患により手術が困難な患者に対する非侵襲的な代替治療が求められている。
方法:2016年6月から2022年12月まで、Memorial Sloan Kettering Cancer Centerで、画像上切除可能なT1-2N0-1M0のPDAC患者25人を対象に、アブレイティブ放射線療法(A-RT)を実施。患者の多くは高齢(中央値80歳)で、Karnofsky Performance Statusスコアが80以下。17人(68%)は放射線療法前に中央値2.9ヶ月の導入化学療法を受けた。
考察:2年後の全生存率は43.7%、局所進行の累積発生率は20.8%、遠隔転移なしの生存率は20.0%であった。Grade 3の消化管毒性は急性期に3人、晩期に1人に発生し、Grade 4以上の有害事象は報告されなかった。A-RTは、高齢や併存疾患により手術が困難な患者に対する有望な局所治療オプションとなり得る。
JAMA Oncol, 2025年
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40208620/


切除可能な膵癌に対する放射線療法がある程度効果あり。
手術、抗癌剤に次ぐ治療選択 近くにこの治療をできる施設がある人にはよさそう。
まとめ
心臓の治療も徐々に低侵襲治療に置き換わってきてます。患者さんに提案できる知識をアップデートしておきたいです。

また論文紹介を再開しました。気を抜くとすぐにやらなくなるからいかん。
できることを最大限に。がむしゃら院長でした。



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