新患 がこないと患者さんが増えない、あたりまえのことです。クリニックの経営において、新患さんにご来院いただきかかりつけになってもらうことは、最も重要です。
少子高齢化とともに競争が激しくなる中、地方クリニックでの新患獲得の戦略は今後ますます重要になります。今回は、実際にクリニックを運営している中で感じた「新患さんを増やすための具体策」を5つの視点からご紹介します。

誰に来てほしいのかを明確にする
窓口を広げてたくさんの患者さんにきてもらう、これがベストです。ただ、患者さんが体調が悪いとき、検査を受けたいときなど、患者さんはその状況にあわせてクリニックを選びます。
その時に選んでもらえるように最初はターゲットを絞る方がいいと思います。
ターゲットを絞ることでメッセージが明確になる
- 年齢層(子ども、高齢者、働く世代など)
- 疾患カテゴリー(生活習慣病、内科一般、予防接種、健診など)
- 来院動機(近い、信頼できる、症状が長引いている など)
→ ここが曖昧なままでは、広告や発信の軸がブレてしまいます。
ターゲット例:「働く30〜50代男性に、健康診断後のフォロー外来として選ばれたい」など。
大事なこと:地域でのリサーチを徹底する
市区町村の公開資料や、Googleトレンドなども活用し、クリニック周囲にどのような層が多いかをデータで把握しましょう。その層をターゲットにすることで新患増が期待できます。
「誰でもどうぞ」ではなく、「こういう方に来てほしい」という打ち出しができるようになります。
その人たちが「クリニックを探す場所」で見つかるようにする
ホームページのないクリニックに未来はありません。新患さんが行くはずがありません。
昔からある地域でトップの口コミが良いクリニックは別です。新規開業や私のように患者さんの減少している田舎のクリニックを継承した場合、ホームページがないことは致命的です。初めての居酒屋に行くときですらホームページをみるのに、自分の体を診せるクリニックのホームページをみないことはないからです。
ホームページの整備は最優先事項
ホームページは最低限、下記の要件を満たしている必要があります。
- シンプル (華美である必要はない、やたら動くアニメーションはいらない)
- 表示速度が速い (離脱防止)
- スマホで見やすいデザイン
- 診療時間、院長の顔、アクセス情報などをわかりやすい場所に配置
- お知らせ・ブログ・疾患説明などによる更新性(生きてるサイト)
さらに選ばれるためには、たくさんの工夫をホームページにちりばめる必要があります。フットワーク軽くそれをすすめるためには、業者さんにお願いするのではなく自分で作ることをおすすめします。
大事なこと:たくさんの集客動線をつくる
ホームページは基本です。最終的に患者さんの目があつまる場所がホームページです。そこに目を集めるためにはできるだけ多くの動線があることが望ましいと思います。
- Googleビジネスプロフィール整備
- SNS:X(旧Twitter)・Instagram・LINE公式など
- 動画:YouTube、CM、テレビ出演など
- オフライン:看板、チラシ、地域情報誌など
- 近隣医療機関との連携
行ってみようと思える要素をつくる(魅力づけ)
ホームページをみてもらえたら、ここに行ってみようかなと思わせる必要があります。そこそこ人気のクリニックにはきれいでわかりやすいホームページがあることは当たり前です。そのライバルたちに勝つためには圧倒的な魅力が必要なのです。
クリニックの「強み」をしっかり打ち出す
- 医師 (経歴、みため、人間性)
- 専門性(例:消化器内視鏡、リハビリ医療、抗加齢医療、美容整形、美容皮膚科など)
- 利便性(予約、オンライン診療、待ち時間の可視化、駐車場、院内処方、費用など)
- 接遇・雰囲気(スタッフの対応、清潔感)
患者さんが選ぶ理由を、言語化して伝えることが重要です。自分たちが「当たり前」と思っていることが、患者さんには「他と違って安心できる」と感じることも多いのです。一度洗い出してホームページにまとめてみてもいいかもしれません。
初診時の満足度を最大化する(定着しかかりつけへ)
新患さんは「一度来て終わり」ではなく、次にまた来院したくなるように促すことが重要です。「来てよかった」と思える説明や対応を、院内で接する全てのスタッフが意識することに加えて、受付から診察、会計までの流れをスムーズに行います。
待ち時間はできるだけ少なくします。もし待つ必要がある場合も、”ただ待っている感じ” を患者さんが持たないような工夫が必要です。
第一印象が全て
- 受付での挨拶、説明の丁寧さや話し方
- 診察までの時間 (短ければ短いほど良い)
- 診察時の時間配分 (初診は長めに確保する)
- 診察時の医師の対応 (笑顔、寄り添う言い方、専門的な知識、患者さんに話してもらう配慮など)
- 診療後の説明用紙や案内書の整備
- 会計までの時間 (短ければ短いほど良い)
- 薬を受けとるまでの時間 (短ければ短いほど良い:院内処方、門前薬局)
患者さんは「感じの良さ」「信頼できそう」という印象や、診療における快適さでリピートを決めます。初診での体験が悪ければ、次は来ません。他のもっといいクリニックを探すだけです。
数値で振り返り、改善する(PDCAサイクルを回す)
最後に以上のことをどんどん改善していくことが必要です。そのためにはデータベースをつくることです。論文作成でも市場解析でもクリニック経営でも、データが重要です。まずは今までの結果を可視化しましょう。
毎月の「新患数」を必ず記録する
- 新患数、再診率、紹介件数などのKPIを設定
- 月ごとに変化を分析
- スタッフ全員と共有し改善点を議論
データをもとにした改善活動が「なんとなくやっている」から脱却する第一歩です。
| 指標 | 意味 | 改善アクションのヒント |
|---|---|---|
| 新患数 | 月ごとの新規患者数 | 看板・Webの露出を調整 |
| 再診率 | 再来した割合 | 初診後フォロー体制の改善 |
| Google口コミ数 | 信頼性の見える化 | 対応後に声掛けを徹底 |
うちではこうする
- ホームページを院長が作成する
- できる限りの集客動線をつくる
- 全スタッフが誠意をもって患者さんに接する (へりくだることはしません、患者さんを~様とはいいません)
- 待ち時間をつくらないシステムをつくる (待ってる感じをつくらない)
- 院内処方
- 自動会計システム
- 新患数や再診率、経営に必要なデータなどをビジネスインテリジェンスツールで可視化して院内で共有する。
まとめ
新患獲得には、明確な戦略と仕組み作りが不可欠です。ターゲットの明確化、集客の導線整備、来院のハードルを下げる工夫、そして来た方への満足度を最大化すること。これらを数値で振り返ることで、クリニックは確実に成長していきます。「ただ待つ」では周りのクリニックに勝てません。「積極的に仕掛ける」必要があります。今こそ、新患対策に本気で取り組むときです。



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